非上場株式評価方法の是非

株式市場に上場されておらず一般に流通することのない非上場株式を、相続,贈与等の場面で評価するための計算方法が『財産評価基本通達』に定められていますが、会計検査院はこの中で定められている計算方法の選択次第で評価額に4倍程度の差が生じているとして、現行の制度を問題視しています。

上場株式には誰にでも明らかな市場による評価額が判明しますが、非上場株式は一般に流通しないため同様に評価額を認識することができません。そのために相続,贈与等の場面で計算する際のルールとして定められている計算方法が、決算書類に基づく「純資産価額方式」,同業の上場企業の株価を参考にした「類似業種比準方式」等になります。指摘しているのは、前者は後者の4倍程度の評価になっているため課税の公平性に欠けるとしているもので、差が生じる要因として前者は近年殆ど変更がなく現在に至っている点を挙げています。

確かに統計を取るとその様な結果が出るかもしれませんが、実務上は両方の方式で計算して結果の妥当性を検証しますし、明確なルールがない部分は税法の意図を汲んで調整することもあります。もともと流通性のない非上場株式ですので、全ての納税者に公平な計算は難しいのかなと思います。